今回の安田記念には、ビューティフラッシュ号とサムザップ号の2頭が出走予定です。私の個人的な見解としては外国馬の中で、連対する可能性があるとすれば、ビューティフラッシュ号ではないかと感じています。JRAのホームページの
http://www.jra.go.jp/news/gaikokuba/2011/pdf/yasuda02.pdfのURLには次のように紹介されていました。
安田記念出走外国馬プロフィール
ビューティーフラッシュ (Beauty Flash、漢字表記:締造美麗)=香港
せん・6 歳・栗毛 (ニュージランド産2005 年11 月16 日生まれ)
父:Golan = 母:Wychwood Rose (母の父:Volksraad)
馬 主: Kwok Siu Ming (S. コック、郭少明)
調教師 : A. クルーズ
騎 手: W. マーウィング
戦 績: 通算 23 戦10 勝、2 着1 回、3 着3 回
主な戦績 : 11 クイーンズシルヴァージュビリーカップ (香港、ローカルG1)
1着
11 スチュワーズカップ (香港、ローカルG1) 1着
10 キャセイパシフィック香港マイル (香港、G1) 1着
10 メルセデスベンツ香港クラシックマイル (香港、ローカルG1)
1着
ビューティーフラッシュは昨年の安田記念に出走しました。F. コーツィーが騎乗して単勝9.7
倍の4 番人気に支持され、10 番枠から馬群の中の5 番手につけましたが、最後の伸びを欠き、18 頭立ての11 着でした。勝ったショウワモダンから着差は6 馬身。コーツィー騎手は、香港のレースと違ってコーナーをうまく回れなかったとコメントしています。香港の他の2 頭、サイトウィナーとフェロ−シップは5、9 着でした。
ビューティーフラッシュはニュージーランドの名門牧場、ウィンザーパークスタッドの生産馬
です。1 歳時(南半球暦)の2007 年にニュージーランドのカラカ選抜せり市へ上場されたところを、T. タン氏に6 万5,000NZ ドル(当時の約550 万円)で購買され、同国のL. ノーブル調教師のもとへ預託されます。
ニュージーランドでは 3 戦1 勝の成績でした。3 歳シーズンの2008 年12 月12 日、タウランガ競馬場の未勝利戦(1,300m)で初出走し、4 着に敗れたあと、2009 年1 月2 日の未勝利戦3着を経て、1 月31 日の未勝利戦(テラパ競馬場、1,400m)を勝ちました。
このあと香港へ向かい、新たにS. コック氏の所有馬として、香港リーディングトレーナー2 回のA. クルーズ厩舎に迎えられます。クルーズ師が手掛けた馬には、香港の歴史的名馬サイレントウイットネス(2005 年スプリンターズステークス優勝、同年安田記念3 着)や、2006 年の安田記念馬ブリッシュラックがいます。
ビューティーフラッシュは香港でいきなり素質の良さを見せます。2009 年5 月31 日の香港
初戦(ハンデ戦、1,200m)から、6、9 月のハンデ戦(ともに1,400m)まで3 連勝を飾ります。すべてシャティン競馬場のレースで、以後も香港での出走はすべて同競馬場で行われたレースです。
このあとハンデ戦 2 着を経て、2009 年11 月のシュバリエカップ(1400m)、12 月のハンデ戦を連勝。そして、勢いそのままに、2010 年1 月のメルセデスベンツ香港クラシックマイル(ローカルG1、1600m)を制します。ここはC. スミヨンのテン乗りとなり、初距離にもかかわらず果敢に先手を取ると、そのままチャターウェイに3 馬身差をつける快勝でした。レースは14 頭で争われ、これがG1 はおろか、重賞初出走であったにも関わらず、単勝1.8 倍の断然の支持を集めていました。良馬場の勝ちタイムは1 分34 秒3。
しかし、その後しばらく勝ち運から見放されます。続く2 月のメルセデスベンツ香港ダービー
トライアル(ローカルG2、1,800m)は差し込まれて3 着。翌3 月の香港ダービー(ローカルG1、4 歳限定、2,000m)はL. デットーリに乗り替わり、単勝3.1 倍の本命に推されますが、距離が合わなかったのか、先行して伸びず、スーパーサテンの4 着でした。
次いで、4 月のチェアマンズトロフィー(ローカルG2、1,600m)では、逃げてかわされ、エイブルワンの5 着。さらに同月、チャンピオンズマイル(G1、1、600m)に臨み、一転して内の7 番手に控える展開から4 コーナーで外に出して猛追、エイブルワンの3 着に入りました。着差は1馬身1/2。
このあと出走したのが、最初に触れた昨年の安田記念です。
その後、香港に帰国し、4 か月近い休養を取り、2010/11 年の5 歳シーズンは10 月1 日のナショナルデイカップ(ローカルG3、1,400m)から戦列に戻ります。ここは先行して伸びず、ラッキーナインの4 着。続く10 月24 日のミッションヒルズシャティントロフィー(ローカルG3、1,600m)は、同じく今年の安田記念を目指すサムザップの5 着でした。先行策から先頭に立つものの後続に差され、着差は2 馬身1/2。
次いで出走したキャセイパシフィックジョッキークラブマイル(G2、1,600m)は、やはり先行して伸びを欠き、エイブルワンの4 着でした。サムザップは2 着。このレースで初騎乗となったフランスのG. モッセは、以後5 戦すべてに騎乗し、ビューティーフラッシュ躍進の原動力となります。
12 月12 日のキャセイパシフィック香港マイル(G1、1,600m)では、単勝10 倍の6 番人気でしたが、2 番手の外から鋭く伸び、ロイヤルベンチに3/4 馬身差をつける鮮やかな勝利を収めます。英G1・2 勝のサプレザ(直前のマイルチャンピオンシップ(京都)4 着)が3 着、
日本のエーシンフォワード(マイルチャンピオンシップ優勝)が4 着に入り、サムザップは着差2 馬身1/2の6 着。良馬場の勝ちタイムは1 分34 秒7。
さらにこのあと、ローカルG1 を2 連勝します。まず今年1 月のスチュワーズカップ(1,600m)は2 番人気でしたが、2 番手から伸び、追い込むサニーキングをクビ差抑えて優勝。良馬場の勝ちタイムは1 分34 秒9。続く3 月6 日のクイーンズシルヴァージュビリーカップ(1,400m)も2番人気でしたが、3、4 番手の外から差し、追い込むサニーキングを今度は1/2 馬身抑えて快勝しました。良馬場の勝ちタイムは1 分21 秒7。
このあとドバイへ向かい、3 月26 日のドバイデューティーフリー(G1、メイダン競馬場、1,800m)に出走しますが、逃げてかわされ、英国馬プレスヴィスの6 馬身差8 着でした。香港に戻り、前走4 月25 日のBMWチャンピオンズマイル(G1、1,600m)は逃げたものの差され、エクステンションから3/4 馬身差の4 着でした。プレスヴィスは6 着、サムズアップは10 着。
【血統】
父のゴーランは2000 ギニー、“キングジョージ”と英G1 を2 勝。2001、2002 年のジャパンカップにも出走し、それぞれ6、7 着だった。他の産駒に豪G1 のヴィクトリアダービーを勝ったキブツがいる。母のウィッチウッドローズは1 戦着外。祖母のウィッチウッドラスはニュージーランドで20 戦し、準重賞のパパナットタヴァーンH など5 勝。母の父フォルクスラードは2009/10 年シーズンを含め、ニュージーランドのリーディング・サイアー8 回。
安田記念出走馬関係者プロフィール
■ビューティーフラッシュ
馬主: コック・シュウミン(郭少明、KWOK Siu-Ming)
香港を中心にマカオ・中国・台湾・シンガポール・マレーシア・タイに200 以上もの化
粧品小売店を展開するSa Sa International Holdings の会長兼CEO を務める。
これまで共同名義を含めて10 頭を所有し、ビューティーフラッシュを含む4 頭が現役。
美に関わる会社を経営していることから、ほとんどの所有馬の馬名に「Beauty」が付され
ている。
調教師: アンソニー・クルーズ(Anthony Cruz)
1956 年12 月24 日生まれの54 歳。香港ジョッキークラブ騎手養成所の第1期の卒業生と
して1974 年に見習騎手としてデビュー。1996 年に騎手を引退するまで6 回リーディングジ
ョッキーの座につき、通算勝利数946 勝はD.ホワイト騎手に次ぐ歴代第2 位の記録である。
1980 年代には香港のみならずヨーロッパでも活躍し、1986 年、1987 年英チャンピオンS
(トリプティク)、1988 年のヴェルメイユ賞(インディアンローズ)、1989 年のフランスオ
ークス(レディインシルバー)などの大レースで勝星をあげている。その他、騎手として
ジャパンカップに2 回(1986 年、1987 年)、WSJS に2 回(1992 年、1995 年)の来日経験が
あり、日本での通算成績は16 戦1勝。1987 年にはフランスの女傑トリプティクに騎乗し、
当時はジャパンカップの前哨戦であった富士S で圧勝し、本番では断然の一番人気に推さ
れたものの、直線での不利もあって4 着に敗れている。
騎手を引退して調教師になった後も、その活躍ぶりは止まるところを知らず、1999/2000
シーズンには57 勝で初のリーディングトレーナーを獲得。2004/2005 シーズンには、14 あ
るG1 競走のうち7 競走に勝利すると共に25 年間破られなかったシーズン最多勝記録87 勝
を上回る91 勝をあげ、2 度目のリーディングトレーナーとなった。今シーズンは5 月21 日
現在で63 勝をあげ、リーディング首位を快走中である。
これまで日本のG1 競走には7 回参戦して延べ8 頭を出走させ、2005 年にはサイレントウ
ィットネスでスプリンターズステークスを、また2006 年にはブリッシュラックで安田記念
を制している。
騎手: ウェイチョン・マーウィング(Weichong Marwing)
1970年4月14日生まれの41歳。南アフリカ出身。1990年代は地元南アフリカにおいて常に
リーディング上位を賑わせ、1999年には南アフリカ三冠馬となったホースチェスナットの
主戦として活躍。1999/2000シーズンからは香港を主戦場とし、一時ブランクはあるものの、
昨シーズンまでに通算265勝をあげている。
香港では、フェアリーキングプローンで2001年のチェアマンズスプリントプライズを、
オリンピックエクスプレスで2002年の香港クラシックマイル・香港ダービー・香港マイル
を、ビバパタカで2010年のオーデマピゲQEUカップを制している。
南アフリカやドバイなどで活躍するマイク・デコック調教師の主戦騎手を務めていた時
期もあり、同調教師が管理するイリデセンスでは2006年のオーデマピゲQEIIカップを制し
た。
今シーズンは5月21日現在28勝をあげて香港騎手リーディング9位。今回は2001年のジャ
パンカップ(インディジェナス)以来となる、3度目の来日。
とあります。
私としては、JRAのホームページでここまで詳細なデータが紹介されていることに驚くばかりです。